Collaboration #01

建築家 新井今日子 with 清興建設

清興建設では様々な建築家とのコラボレーションをはじめとして
いろいろなご縁を大切にしています。
今回はリフォームでの、コラボレーションを記事にしてみました。

2020年グッドデザイン賞受賞  建築家 新井今日子
with 清興建設

■建築家を目指したきっかけは?

 建築家を目指したきっかけはやはり、父や母の影響が大きいと思います。父は航空工学を勉強していた人でしたが、元々建築好きであった為、家にはブルーノ・タウトやレイモンドの本がありました。ブルーノ・タウトは建築家で、エッセイ「永遠なるもの」で桂離宮の美しさを世界に知らしめたことでも有名です。レーモンドは、チェコ出身の建築家でフランク・ロイド・ライトと共に来日し、その後日本に留まって、モダニズム建築の作品を多く残した方で、前川國男、吉村順三、ジョージ・ナカシマなどの名建築家がレーモンド事務所で学んでいます。それら書籍に囲まれ手育ったのが一番の要因かもしれません。

■ お母様からはどういう影響を受けましたか?

 母も大のインテリア好きで、家庭画報が常に家にあったり、大阪のヴォーグ学園で編み物の講師を務めていて、周りの環境自体がデザインと常に触れあえる環境でした。
それから母は、大の改装好きで、いつも家を普請していて始終大工さんが家に出入りしていました。
 さらには京都にあった祖母の家が、下鴨神社の近隣にあり、自転車で糺の森を散策して、自然や建築、動物や人間などのスケッチをするのが好きな子供時代を過ごしました。その頃流行っていた手塚治虫も大好きでした。
 そうやって過ごすうちに美大を志すようになり、美大専門の予備校にも通いました。スケッチを重ねるうちに、美大に進むというより、建築への興味が深まり、元々の数学好きも加わって、阪大の建築科への進学が決まりました。

■ 建築科ではどのような研究をされていましたか?

 その当時はコンピュータの黎明期にあり、ほとんどの建築家は手書きでデッサンを仕上げていました。私はそのようななかで、コンピュータで図面や絵を描いていくことをテーマに選び、研究を重ねました。卒論のテーマは、大阪ミナミの地下街から災害が起こった場合に、避難するのに何分かかり、何人が逃げられるのか、コンピュータでシュミレーションをして、現状の問題点を浮き彫りにし、されには設計によってどのように改善できるのかを研究して卒論提出しました。当時の指導は岡田光正教授でした。まだまだ手書きが重要視される、そういう時代でした。
他、東孝光教授には設計そのものを教えて頂きました。

■ 建築家として心がけていることは?

 建築家として駆け出しの頃は、自分のデザインを主張することが強かったように感じます。やがて、経験を重ねるうちに、お客様の要望を実現していくために、お客様ご自身の要望を、誘導していくようになってきました。
 建築家にわざわざ頼むというお客様はやはり、建築やデザインが好きでこだわりやセンスがある方が多いので、それを最大限に引き出していくこと。それからリフォームですと、そこで生活している方でないとわからない、光の入り方や見えている景色などを、お客様から聞き出したり、なるべく現場で過ごすことによってそれを読み取っていく作業を心がけています。
 それに加え、施工してくださっている業者さんの力を最大限に引き出せるように心がけています。
 現場百編というように、そこに居て過ごすことでしか感じられないことを大切にしています。
リフォームですと、制約があるなかでデザインするためにも現場に足を運びます。新築だと借景も含めて周囲との調和を心がけているので、やはり現場に足を運びます。
意匠と構造と設備の観点からも、それぞれのお仕事には必ず小さいことでも新しいことを試みるようにしています。
 いろいろなお客様との出会いにハッとさせられたり、新しい流れを頂いたり、毎日が勉強だと思っています。建築は十年、二十年のお付き合いになります。長く使って頂いた上でお客様が喜んで頂くのは大きな喜びにつながっています。

新井今日子 プロフィール

■略歴
大阪大学工学部建築学科卒
大成建設入社
1988年、リチャード・ロジャーズパートナーズLtd入社
1992年、新井建築設計・計画設立
2001年、新井建築設計・計画+arai1992に社名変更

act CAD カレッジ(鹿島建設GP)講師

■受賞歴
静岡県住宅振興協会優秀賞
奈良県景観デザイン賞入賞
AICAショップデザインコンテスト優秀賞

2020グッドデザイン賞受賞
2021 グッドデザイン賞2次審査

■新井建築設計・計画+arai1992 https://www.skharai.co.in/